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 税制懇って何? (税制懇へのご案内)


税制や税務行政の研究・研修と
   会員相互の親睦・交流が目的の団体です


 全国税制懇話会(通称「税制懇」)は、昭和60(1985)年4月14〜15日の湯河原集会において、「全国税制懇親会」として税務行政のOBを中心に、税制・税務行政の研修・研究を深め、会員相互の交流を図ることを目的に設立した組織です。


国税OBの特性活かした豊富な実践と
   独自の資料・情報の収集と提供が「売り」

税務行政のOBといっても決して「官僚」集団でありません。現役時代に労働組合(全国税労働組合)の活動などを通じて、庶民いじめの税務行政や金持ち優遇の税制に反対、税制や税務行政の民主的改革をもとめて活動してきた仲間同士です。これらの諸氏が、退官後も税理士などの活動を通じて、当時、大型間接税の導入や公益法人課税が問題になる中、同じ志を持って活動を続けていこう、と昭和60(1985)年頃から活動をはじめ、税制懇に発展させたものです。今では国税OB以外の会員も増えて、北海道から沖縄まで全国の会員総数は約249名(2017年3月末現在)です。
設立以来32年になりますが、この間、毎年欠かすことなく春・秋の全国研究集会を行ってきました。


メイン講師は山本守之先生、大淵先生も講師陣に参入
@山本守之先生(税理士)を中心とした充実した講師陣と、A「税務の現場と実務に強い」OBならではの実践報告、B独自の情報収集で「早くて正確な実務に役立つ情報」を基にした教材は、なかなか好評です。2014年から大淵博義先生(中央大学名誉教授)が講師陣に参入され、法人税理論の分野がいっそう充実しました。
いま、税理士業界では、国税通則法改正に伴う税務調査手続きの明確化の流れ、その流れにサオをさす行政・税制の動向、国税・地方税・社保など強権的な滞納処分の進行といった大きな波の中で、それらに対応できずにいる事務所が多いといわれています。そうした状況をきちんと受け止め、そしてその判断をいち早く仕事に直結させ、クライアントのニーズに応じ、的確なアドバイス、コンサルティングをすることが求められています。
また同時に、情報発信や事務機器の進歩など、これだけ便利になった時代にあっても、やはり気心の知れた信頼できる人間関係こそ活動の基礎となります。
税制懇の「研修・交流」は、あなたの税理士活動にとって必ずプラスになると思います。 皆さんのご参加をお待ちしています。  ( 税制懇事務局 )

写真は2015年4月、
有馬での全国研究集会
の研修会の様子


 お問い合せ先

〒350-0416 埼玉県入間郡越生町越生516 税理士法人 むさしの会計

全国税制懇話会事務局長 小田川豊作

電話049-292-7788  FAX049-292-7789
 税制懇の生い立ち

この原稿は、税制懇結成25周年記念集会(2010年5月、松本・「美ケ原温泉ホテル」)において、「税制懇の生い立ち」と題して故吉本貢氏が講演されたレジュメを、加筆・補強したものです。吉本氏は税制懇発足当初から中心的存在として活動されてきましたが平成25年3月他界されました。

税制懇の生い立ち
 吉本 貢

 税制懇結成25周年おめでとうございます。

 税制懇が結成されたのは1985年ですが、当時の記録が引き継がれていませんので、その当時の「生い立ち」について、この機会にお話し、残しておきたいと思います。

1 税制懇発足の頃の情勢

(1)抜本的税制改革・消費税導入
  当時の情勢について簡単に触れて起きます。特徴的な問題では、一つは抜本的な税制改革・消費税導入問題です。
  大平内閣が(1979年)一般消費税の創設導入を総選挙で問うが大敗し挫折しま した。その後は、臨調行革路線による「増税なき財政再建」「民間活力の強化」 「小さな政府」「直間比率の是正」と言うことでひたすら大型間接税導入をねら っていました。
  1986年には政府税調が「抜本的税制改革」を答申、中曽根内閣は売上税法案を 提案しましたが、幅広い国民の反対によって廃案になりました。
竹下内閣は、装いをあらたにして消費税の創設を、所得税累進課税緩和、資産 所得の分離比例
税化、法人税率引下げなどの減税と抱き合わせで強行しました
(1988.12)。

(2)税務行政の消費税シフト
  大蔵省では1986年に入って竹下大蔵大臣の下で大型間接税の導入体制を固めて いたようです。導入後は、消費税弾力的運用を行いましたが、3年後には「同時調査」に組み入れられ、「仕入れ税額控除否認」など厳しい調査になって行きます。そして1991年機構改革をこない、税目別から納税者別統括官制度にし、消費税を基幹税とする税務行政にしました。

(3)大型間接税反対運動
  大型間接税導入論が政府税調等から出されることに対して大型間接税反対の運 動が広がりました。大型間接税反対中央連絡会議が結成されました。学習会が全 国で広がり、民主団体や消費者団体に加えて、中小業者の業界、百貨店協会、スーパー協会なども反対運動に参加しました。また芸術・文化団体、書店組合、出版関係の組織も運動に加わり、地方議会でも反対の決議があいついで行われました。
全国税は「欧州税制調査団」(団長坂本良雄副委員長)を
1978年派遣して付加価値税の研究と大型間接税導入反対の全国的な講師活動や税制研究運動を行いました。

(4)「公益法人等」に対する収益課税の拡大問題
当時のもう一つの問題は労働組合等への課税強化の問題がありました。

1981年法人税基本通達改正による公益法人等の事業概念の拡大によって、収益 課税の拡大問題が起こりました。労働組合については、中央労福協・労働4団体 で国税庁と中央交渉を行い、「1000人未満の労組には課税しない」等の確認を取りました。(1983)この問題では、山本守之税理士らが大きな役割をしました。

2 全国税制懇親会の発足

(1)全国的な懇談の場を
  1984年私は東京国税局の相談室に勤務していました。その時、山本守之税理士 著「体系法人税法出版」の回覧を見ました。山本守之税理士の著書は有名で特に 法人税部門のたちには参考書になっていました。その年11月30日に「体系法 人税法出版を祝う会」が帝国ホテルで盛大に行われましたが、その間に、いずれも全国税本部の役員をしておられたOBの人たちで当時は東京税理士会の税務審議 部長の坂内直治税理士、全国税顧問の村上晴男税理士、熊澤通夫経済評論家と私 などがしばしば山本守之事務所に集まっていました。
  この時に、全国税OBなどの全国的な懇談の場をつくろうということになり、準備することになりました。その思いは次のようでした。
    @ 労働組合の収益課税対策、大型間接税導入反対運動を各地で広めるための資料と討議をする
   A 各地連にOB会結成を促進する
   B OBの全国的な懇親の場にする

(2)発起人会
 先ず全国のOBの主な人びとを村上さんに選んでもらい、四国、近畿、北陸、東海、関信、東京、東北の人たちに1985年2月3〜4日湯本の清光園で発起人会を開くことを呼びかけた結果、次の各氏が集まりました。

東北の板垣康雄、関信の山田昌利、渡辺圭介、東海の西尾敏、近畿の藤原隆、東京の市川利雄、熊澤通夫、坂内直治、山本守之、全国税本部関係の村上晴男、吉本貢


会議は、労働組合の収益事業課税問題や大型間接税導入反対運動について情報と情勢など意見交換を行い、全国的な懇親の場を立ち上げることになりました。
そして、全国の集いを同年4月14~15日に開くことにしました。

(3)全国税制懇親会
全国の集いは1985年4月14
~15日湯が原の厚生年金会館で開きまし
た。名称は全国税制懇親会としました。北海道、九州を含め全国から33人が参加しました。他に公益法人課税問題に関係する総評、
労福協、労音、会館協の者も参加しました。
 昼は二つの講演を行いました。
 一つは「大型間接税をめぐる問題点」を谷山治雄講師が行いました。
 二つは「公益法人課税の問題」を山本守之講師が行いました。

夜は懇親を行い、関信の松岡さん、熊倉さん、東海の毛受さん、大阪の藤沢さん、東京からは市川さん、齋藤さんなど、今は亡き先輩たちを含め参加者が交流しました。
次回は来年4月に開くことを申し合わせ、その間の事務連絡所を坂内直治税理士事務所に置くことを申し合わせました。

(4) 全国持ち回りで春と秋に集い
 ・ 1986年の集いは、国税労働運動40周年祈念集会に合流しました。シンポジュウムと祝賀会にOBは46名参加しました。
 ・ 第3回の税制懇の集いは1987年4月19〜20日伊東市山平旅館で行われました。36名の参加者で、北海道から井上さん、北陸から手賀さんの初参加がありました。税制改革・売上税が焦点の頃で、谷山治雄、山本守之、熊澤通夫の各講師が講演しました。「売上税一問一答」など資料も配布されました。
この時に、秋には全国世話人会議を開くことを決め、また今後組織化していくための検討をすることにしました。
 ・ 世話人会議は1987年10月25〜26日札幌しホテル札幌会館で行いました。北海道地連のOBと役員の柿本さん、本庄谷さん、金城さん、大滝さん、池田さんなどを含め30数名集まりました。熊澤通夫、坂内直治、山本守之、吉本貢各講師が講演と報告を行いました。
懇親会では初めてOBが一同に会して、全員自己紹介し、北海道地連組織化の思い出など有意義なひと時となりました。
 ・ 第4回の税制懇の集いは、1988年4月24〜25日京都市ホテル・サンフラワーで行われました。北海道から九州まで50参加しました。
一日目は谷山治雄、山本守之各講師の講演、二日目はパネルデスカッションを行いパネラーに徳島米三郎、村上晴男、熊澤通夫各氏も加わりました。
藤沢さん、宮本さん、藤原さんの実行委員をはじめ近畿地連役員の皆さんの奮闘で有意義な交流を行い、全財労組OBと全国税皆さんの懇親が深まりました。
・ 秋の税制懇は9月23日東京労音会館で行われました。全国税役員を含めて46名集まりました。消費税関連6法案が国会に提案された情勢の中での学習となりました。
情勢報告は村上晴男講師、日本経済の構造調整と税制改革を熊澤通夫講師、消費税法案の問題点を山本守之講師が4時間行いました。
・ 第5回の税制懇は1989年4月16〜17日名古屋市フジパークホテルだ行われました。参加者は北海道2、東北1、関信10、東京14、東海11、北陸5、近畿9、四国1、九州4、全国税本部3および東海地連6と講師を含めて全国から68名の参加者となり増えてきました。
谷山治雄、山本守之両講師の講演とパネルデスカッションそして夜の交流会まで、消費税廃止への熱気が会場にあふれました。各地連のOB会結成も進み、あと四国、東北、九州となりました。税制懇の今後の運営で事務局体制の強化、通信・資料配布体制を話し合いました。
・ 秋の税制懇は10月22〜23日仙台市ろうふく会館、交流会は国際ホテルで行われました。山本守之講師から「消費税実務上の問題点」を講演、他に熊澤通夫講師から税制改革をめぐって、坂内直治講師から商法改正についての情勢報告、吉本貢講師は消費税執行上の問題点を報告しました。
夜の交流会では東北地連OB会結成が発表されました。
次期総会で個人加盟の全国組織として設立するために、会則、方針、予算、役員等を準備することになりました。

(5) 出版・講演活動
税制懇の集会で学習・交流し、それとともに各地で講師活動も活発に行われました。また、出版書発行と普及も行いました。その一部を紹介します。
 ・ 「消費税で暮らしはどうなる」行財政総合研究所編 1988・8(執筆者―谷山治雄、村上晴男、全国税税研推進委員会)
・   「消費税廃止読本」新日本出版社 1989・6 谷山治雄編(執筆者―村上晴男、鈴木章、吉本貢
・ 「竹下新税制のすべて」時事通信社 熊澤通夫著 1988・8
・   「これが消費税だ」日本法令 山本守之著 1988・7
・   「消費税実務と対策はこうする」日本実業出版社 山本守之著 1989・1
・ 「税制研究」等への寄稿

 3 全国税制懇話会への発展 

  (1) 在京呼びかけ人と事務局員は1989年12月から総会に向けての準備に入りました。
1990年2月には全国税制懇話会設立総会の案内を行ました。(別紙村上  晴男氏筆跡「全国税制懇話会創立総会及び春季研究会開催についての案内」参照 )3月30日在京呼びかけ人会議では、約40人の総会出席を確認、活動方針、役員、資料などを討議しました。

 (2)制懇話会の設立
1990年4月15日群馬県伊香保ホテル松本楼で税制懇総会が行われました。全  国から46名、全国税役員含めて53名の仲間が参加しました。
総会は会員制組織に発展するための会則、活動方針、予算を決定、役員を選出して、会員制  組織の全国税制懇話会に発展することになりました。当日までの加入者は67名になりました。   会の目的は「時代の民主的な要請に応えて、税財政及び税務行政を中心とする諸学の研究及び発表を行うとともに、会員相互の協力、交流、親睦を図る」ことにしました。(1992年総会で「・・自主的主体的な諸学の研究・・」に改正しました) 
理事長には村上晴男氏を選出しました。
会則、役員等は「税制懇ニュース・創刊号」に掲載しました。現職の私と坂本良雄氏は事務局員になり、1991年3月定年退職後役員になりました。

 (3) その後の税制懇の活動と発展について
全国税制懇話会研修実績一覧表(別紙)のとおり総会・研修は全国持ち回りで毎年春と秋に行われています。会員は255名、研修参加者も100名を越す状況になっています。今回は第22回総会となっていますが、これは1990年の個人加盟組織にしてからの回数です。

その後の特筆すべき活動と関連する2つのことについて追記します。
@ 海外視察研修
海外の税制・税務行政の視察旅行の希望が強まるなか、1992年6月欧州税制研修旅行
を実施しました。イギリス/ロンドン、イタリア・ローマ、フランス・パリへ27名参加、各国の業務視察も行い研修と資料収集しました。
海外視察旅行は隔年ごとに行うことにし、1994年6月にはアメリカ税制税務行政研究視察には28名参加しています。その後も各国に視察旅行し、税制、納番制度、電子申告、税務調査、納税者権利保障・権利憲章等の視察研修を行っています。こうした海外視察研修の経験と実績を通じて、わが国の税制と税務行政の民主化、納税者権利保障運動に貢献しています。
A 全国研究所等交流会議
 1994年7月東京税財政研究センターができました。全国税OBが中心になって民主的な税財政・税務行政の確立を目指した研究と後発税理士への援助等を行うことを目的に設立し合同事務所をつくりました。このような研究所や各種の組織が仙台、埼玉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、奈良、神戸など各地につくられていきました。
これらの研究所等の活動と経営について交流を行うことを呼びかけ、毎年、全国税制研究所交流会議を東京、大阪・京都、名古屋など持ち回りで行っています。
B 国税OB会全国協議会
全国税OBの組織化が各地連毎に進みました。その上で全国の組織を作ることになりました。  全国税定期大会にあわせて開くことにし、各OB会代表が集まりました。1991年8月に国税OB会全国協議会を設立、会長市川利雄、副会長は各地連OB会委員長、幹事坂内直治、坂本良雄、吉本貢等を選出しました。
当時の各地連OB会会長は以下の各氏でした。

(北海道) 今村 智、(東北) 山田 武、(関信) 渡辺圭介、(東京) 市川利雄、
(東海)毛受 典英、(北陸) 手賀 武、(近畿) 宮本美成、(四国) 山本俊雄 

 4 税制懇の役割と発展

@ 全国税OB中心とした全国的な集まり交流と親睦の場として
A 講演と研究報告をもとに研修の場として

B 税制、税務行政の資料提供の場として


あらたな抜本的税制改革・消費税率引上げをめぐる攻防が激しさを増すときに 当り、また「納税環境整備」と「納税者権利憲章の制定」にむけてのたたかいの 中で、税制懇の役割と活動の継承、発展を期待します。

 * 本稿は、2010年5月11日税制懇結成25周年記念集会で行った講演をもとに加筆、補強したものです。

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